日本SailGPチーム、離脱・解散を発表

2022.07.15

SailGPシーズン3を休場していた、 日本SailGPチームがリーグから離脱・解散することが7月15日午前8時、発表された。 

SailGPは、世界的な富豪のひとりであるオラクル・コーポレーションの会長・CTOのラリー・エリソンの資金で発足した。当初、参加チームには5年間の資金援助がアナウンスされたが、3年目にしてこの援助の打ち切りがあったようだ。この間にスポンサーの獲得、自国開催を達成できなかった日本チームに、今回かなり厳しい通達があった。 

以下に、その全文を公開します。

(タイトル写真=photo by Beau Outteridge for SailGP)


 

SailGP日本チーム離脱・解散のお知らせ   

 -横浜- 7月15日

本日、SailGPのリーグ本部(ロンドン)から発表がありました通り、ヨットの国別対抗プロリーグSailGPは3年目を迎えたシーズンの「日本チームの出場を一旦停止する」という決定を下しました。私たち日本チームはこの決定を受け入れざるを得ず、大変不本意ではありますが、日本チームはいったん、解散することとなります。これまでさまざまなご支援をいただいたみなさまには、唐突なお知らせとなりますが、謹んでご報告申し上げます。 

2019年に参加6か国、全5大会で始まったSailGPは、新型コロナウイルスのパンデミックによる中断時期を経て、シーズン2は参加8か国全8大会、今季シーズン3は参加10カ国全11大会と拡大を続けてきました。リーグが新しい会場、チームを追加し、世界的にファン、視聴者が拡大する中、各国チームはリーグから経済的自立を求められてきました。 

SailGPは「多くの審議と協議の結果、日本チームの(シーズン3への)参加を無期限に停止するという難しい決定を下しました。日本チームが独自の商業的支援が得られていないためです。シーズン3はシーズンの残りの期間、9チームがレースを続けます」 としています。なお、シーズン4以降については現時点で白紙。今後、日本がスポンサーもしくはチーム・フランチャイズ企業を獲得し、復帰の条件が整えられた場合、現在リーグ参画を希望しながら待機している国との比較で、再参戦の可能性は残ります。 

日本チームはオーストラリア出身でドライバー兼CEOのネイサン・アウタリッジのリーダーシップのもと、過去2シーズン連続総合準優勝を成し遂げました。ロンドン五輪セーリング49er級金メダルなどの実績を持つトップセーラーから、日本の若手が世界クラスの技術を学び、飛躍的な成長を遂げてきました。日本のセーリング文化の発展、普及を目指した日本チームとしての志は道半ばで一旦幕引きとなりますが、SailGPで「日の丸」を背負った若手セーラーがこの国際経験を今後に生かしていくことを切に願っております。 

最後になりましたが、これまでSailGP日本チームをさまざまな角度から支え、応援してくださったみなさまにはチーム一同、心から感謝申し上げます。今まで本当にありがとうございました。 


ネイサン・アウタリッジ(右端)、本当にありがとう

photo by Beau Outteridge for SailGP

 

 

復活を祈っています

photo by Beau Outteridge for SailGP

 

 

日本のセーリング界に多くの財産を残した日本SailGPチーム。

シーズン3での復帰はかなり難しいとの話もあるが、どうか強力なスポンサー、支援者が登場し、この窮状を救ってくれはしないか、と夢を見る。 ネイサン・アウタリッジ、クリス・ドレイパーたちがもたらした知見は、このリーグに参加した日本人たちのスキルとして、財産として、大切にしていかなければならない。

感動と興奮ありがとうございました。 しかし、私たちはあきらめきることはできません・・・

 

(文・写真=中村剛司/Kazi編集部)

 

※月刊『Kazi』に、関連記事あり。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 


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