SailGP 仏大会日本優勝!/悲願の単独首位へ!

2021.09.17

世界最速サーキット SailGPシーズン第5戦、フランス・サントロペ大会で、我らが日本チームが優勝を果たした! 今シーズン2度目の優勝であり、これによってシーズン2トータルランキング暫定首位をマーク。歓喜のシャンパンファイトは、いつも以上のハイテンションで行われたことはいうまでもない!
(メイン写真=photo by Ricardo Pinto for SailGP/優勝が決定した日本チーム艇上)

 

レースは、9月11、12日の二日間。前回のデンマーク・オーフス大会に続き微風、軽風シリーズとなったサントロペ。軽風といえばこの人、日本チームスキッパーのネイサン・アウタリッジである。「wind whisperer/風の使い」のニックネームが示すとおり、パフィー(強弱)&シフティー(振れ)な軽風の読みは神の域、世界最高峰といっても過言ではない。わずかなパフを拾い、ほとんどのチームがタッチダウン(着水)するなか、日本チームだけが見事なフォイリングをみせる、そんなシーンだらけであった。

速度優先のフォイリングモード(翼走状態)から、VMG(有効速度)優先のスキミングモード(風下舷だけタッチさせ、わずかに浮かせる走り)への判断速度が誰よりも早く、日本チームだけが異次元の走りを展開することもしばしば。スタートで遅れたレースも、見事な風の読みで大逆転。見ていて爽快な日本チームの走りであった。

また、今回は全高29.4mの軽風用ウイングセールが初登場となった。日本チームは、この29.4mウイングでの練習時間にアドバンテージがあったとも聞く。

いろいろな意味で見どころ満載の第5戦なのであった。 

 

 

photo by Ricardo Pinto for SailGP

フォイリング状態に入った直後の日本チーム、F50。ハルが浮いた瞬間、AWA(見かけの風角度)は一気に前に回り、艇速は2~3倍へと加速。まさにモンスターマシンだ 

 

 

photo by Adam Warner for SailGP

日本チームのフライトコントローラー、フランチェスコ・ブルーニ。お祭り男がシャンパンをあおる。まさしくファンタスティコ! 最高の瞬間だ 

 

 

photo by Bob Martin for SailGP

決勝レースへ進んだフリートレース上位3チーム。左から、アメリカ、スペイン、日本。ベビーフェイスの狼、フィル・ロバートソン率いるスペインチームとは絡みたくない。サイボーグセーラー、ジミー・スピットヒルの盤石な走りをどこまで崩せるか。4セクションから成る29.4mウイングによる、激アツのファイナルステージだ 

 

 

●ファイナリスト/スキッパーズコメント

photo by Bob Martin for SailGP

日本チーム

ネイサン・アウタリッジのコメント

「これはシーズン最後の本番に向けての序章にすぎませんが、100万ドルの賞金がかかるグランド・ファイナル進出圏内にいることはうれしいですね。それにしても、海面はとてもトリッキーでした。決勝レースでは、USAチームのジミー・スピットヒルが素晴らしいスタートを見せましたが、今回も終盤、彼を抜き去ることができました。前回優勝したターラントではジミーの不運が原因でしたが、今回の勝因は、トップマーク左右のどちらを回航するかの判断でした。それでも、最後フィニッシュまで気は抜けず、かなりストレスを感じました。

私たちは他のチームに比べ、新ウイングに少し慣れていると思います。私自身ではなく、クリス・ドレイパーはデンマーク大会3日前に新ウイングのテスト走行に携わっていたので、大きくて重いという点については理解していたと思います。大きい分確かにパワフルですが、艇をフォイリングさせるのは簡単ではありませんでした。

これまで少し浮き沈みがありましたが、今回、二度目の優勝を手にし、総合でも数ポイント差をつけの首位はとてもうれしいです。欧州ツアーを良い形で終えたいと思っているので、次のスペイン大会カディスではトップ3に入ることが今のチームの目標です」 

 

 

photo by Ian Roman for SailGP

アメリカチーム

ジミー・スピットヒルのコメント

「チームにとっては、素晴らしいレースであり、素晴らしい大会でした。ダイナミックなレースで、コース上にはまるで地雷がたくさんあるかのようでした。 そんなコンディションの中、素晴らしいレースをした日本に敬意を表します。決勝も不安定な風のコンディションでレースが行われましたが、だれにとっても条件は同じです。いまのところ、風の変化が激しいコンディションでは、日本が少し優位に立っているようですね。

全チームの中で、日本チームのクリス・ドレイパーが29.4mのウイングに最も多くの時間を費やしていますが、それが日本の勝利の理由だとは思いません。彼らは純粋に他チームよりも良いセーリングをしただけだと思います。

私たちのチーム全体としては、メンバーの変更やポール・キャンベル・ジェームズが怪我から復帰したこともあり、その中で2位を獲得できたことはとても良い結果だと思います。また、今回の大会では、骨折や物への衝突、沈没などの事故が発生しなかった初めての大会となりました(笑)。残りの大会で少しずつ結果を残し、100万ドルを目指します!」 

 

 

photo by ESP SailGP Team

スペインチーム

フィル・ロバートソンのコメント

「第5レースのスタート前、私たちはスタートラインに対し有利な位置にいました。その時、ベン・エインズリーは、後方風下側から勢いよく進入し、強引に割り込んできました。実際そのスペースはなく、イギリス艇は私たちのボートに接触。その結果、船体後部に大きな穴が開き、重大な損傷を受けました。ちょっと残念で悔しいし、理想的ではなかった。

決勝進出はできたけど、レース前の限られた時間内で応急処置をし、構造的に問題ないことを確認する必要があったため、レース前の十分な準備ができませんでした。結果は3位でしたが、決勝では負けて終わったので、あまりいい気分ではありませんね。決してうまくセーリングができたわけでもありませんし、タフなレースコースでした」 

 

 

photo by Andrew Baker for SailGP

サントロペはマリンシーンでにぎわう高級リゾート。巨大な観覧艇から日本チームを応援する地元セーラーたち 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

フランス・サントロペ大会の詳細は、月刊『Kazi』11月号(10/5発売)にも詳細を掲載予定。ルール16条の変更など、SailGPだけのオリジナルルームについての解説に加え、インシデントシーンの分析など、読みどころ満載の内容になっている。ぜひ読んでください(笑)。  

さて、シーズン2もすでに5戦を消化した。レースは2022年3月に開催予定のアメリカ・サンフランシスコ大会まであと3戦。日本チームは首位に立ったとはいえ、そのポイントはわずか2点。一瞬でも気を許せば逆転もありえる。賞金総額は100万ドル(約1億円)。しかも、総合1位のチームが総取りなのである。目が離せない最速サーキット。次回は10月9~10日、スペインで開催です!

 

(文=Kazi編集部/中村剛司)

 

月刊『Kazi』11月号に関連記事あり。バックナンバーおよび電子版をぜひ  

 

【レース観戦方法】

SAILGP 2021 第5戦

サントロペ大会 公式大会名:フランス・セール・グランプリ

J-SPORTS オンデマンド放送(配信中)

Day 1 : 配信期間:9月11日(土)深夜0:00~11月30日(火)午後11:59 

Day 2 : 配信期間:9月12日(日)深夜0:00~11月30日(火)午後11:59

 

J-SPORTS 2ハイライト

配信期間:9月19日(日)午後0:00~9月19日(日)午後0:30

 

詳しくはこちらのリンクにて

https://www.jsports.co.jp/pickup/sailing/ 

https://jod.jsports.co.jp/pickup/sailing  

 

【その他の観戦方法】

SailGP アプリ: https://sailgp.com/about/sailgpapp/

Facebook: https://www.facebook.com/SailGP/

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UC8Z3si9YuOzrJN-4dVpW5Jw  

 

【セールGP シーズン2大会スケジュール】 

第1戦 バミューダ大会(ハミルトン)2021年4月24日(土)・25日(日)

第2戦 イタリア大会(ターラント)2021年6月 5日(土)・ 6日(日)

第3戦 イギリス大会(プリマス)2021年7月17日(土)・18日(日)

第4戦 デンマーク大会(オーフス)2021年8月20日(金)・21日(土) 

第5戦 フランス大会(サントロペ)2021年9月11日(土)・12日(日)

第6戦 スぺイン大会(カディス)2021年10月9日(土)・10日(日)

第7戦 オーストラリア大会(シドニー) 2021年12月17日(金)・18日(土)

最終戦アメリカ大会(サンフランシスコ)2022年3月26日(土)・27日(日) 

 


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