レンタルボートで楽しむ/三方五湖クルージング

2020.12.15

福井県の三方五湖(みかたごこ)をご存じだろうか?
一帯は若狭湾国定公園に属し、豊かな自然が残り、点在する湖とともに美しい景観をつくりだしている。また、水鳥などの重要な生息地であるため、ラムサール条約指定湿地に登録されており、多くの野鳥が見られるエリアでもある。
そんな湖を、レンタルボートで楽しむことができるのだ。

三方五湖は、久々子湖(くぐしこ)、水月湖(すいげつこ)、菅湖(すがこ)、三方湖(みかたこ)、日向湖(ひるがこ)の五つの湖からなっていて、そのうちボートで走れるのは、久々子湖、水月湖、菅湖の三つ。それぞれ異なる表情をもつ湖を水路がつなぎ、独特の景観が楽しめる。

入り口は早瀬川という細い水路。
その水路が海とつながるところに位置するマリンポート美浜は、ヤマハマリンクラブ・シースタイルのホームマリーナ。レンタルボートはここで借りられる。

 

マリンポート美浜
福井県美浜町の海に面したマリーナだが、三方五湖クルーズには絶好のマリーナ。海にも絶景のクルージングスポットが多い。また、釣りも人気で、釣りポイントも周辺に多数存在する、ボートの遊び方が満載のマリーナである

 

三方五湖の入り口となる早瀬川。水路にしては珍しく信号が設置されている。結構、通航量があるので、信号は必ず守ろう

 

早瀬川は狭い水路なので、信号があるのもうなずける

 

早瀬川を抜けると南北に長い久々子湖が広がる。ここはレガッタ競技が全国的にも有名で、海外からも選手が合宿を組みに訪れるほど。彼らが練習しているのを見かけたら、航行には十分配慮しよう。

 

レガッタのための赤白の設置物。コースを表すように点々とあるので注意

 

久々子湖には、イケスもところどころに見られるため、航行するときは結構気を使う

 

久々子湖を奥へ奥へと進んでいくと、低い橋に出合う。そこをくぐると右手にシジミの養殖場があり、もう一つの橋をくぐると、浦見川という狭い水路に続いている。

 

久々子湖の奥にある橋。ここをくぐるとシジミの養殖場が右手にある。橋の手前には誘導灯があるので、その間を通って進入する

 

浦見川の入り口には、シジミの養殖場がある。必ず徐行しよう

 

シジミ漁をしているフネがいることもある。ここのシジミは、味が濃くて美味しいそうな

 

浦見川は、1662年から2年ほどかけて開削された全長200~300メートルの人工の水路だ。
とはいえ、濃い自然が左右から迫り、素晴らしい景色が広がる、まるでジャングルクルーズのような体験ができる。こんなところにレンタルボートで訪れることができるなんて、夢のようである。
幅が狭いので、それなりに流れがあり、結構舵が取られるので注意しよう。流れに合った最低速力で進むようにしたい。

 

左右に岩肌と緑が迫る、美しい水路、浦見川。写真では右側だが、久々子湖から入ると左側は、ほぼ垂直に岩肌が立ち、右側は岩がごろごろとしていて浅いので、左に寄って進む(写真は久々子湖へ戻るところなので、右側に寄って航行している)。この水路で野鳥を見かけることもあるそう

 

浦見川を抜けると水月湖である。すぐに左へと舵を切れば、菅湖に入ることができ、ここでは水鳥が多く生息しているため、野鳥観察ができる。ただし、残念ながら梅雨時の水位が高いときには見られない。

水月湖の奥には上陸可能な2カ所がある。
宿泊施設「若狭みかた きらら温泉 水月花」と、「湖上館パムコ」だ。
前者にはランチや立ち寄り湯の利用で、後者には宿泊利用で停泊可能。訪れる場合は、必ず事前に連絡をしよう。

 

若狭みかた きらら温泉 水月花の中からは、こんな湖の景色を見ながらランチをいただける

 

湖上館パムコの2階テラス席から見た桟橋。3種の地ビールを造っていて、それを堪能するのも、宿泊利用ならでは

 

ただし、敦賀周辺は、2022年度末に完成するという北陸新幹線延長に伴い、現在、観光プラットフォームを整備中で、それは三方五湖も例外ではない。
水上から立ち寄れる桟橋の整備などにも注力しているそうなので、今後、もっとクルージングスポットが増える可能性大なのだ。

水月湖の奥にある三方湖は、ウナギの養殖場で、竹ザオが乱立しているため、絶対に入らないこと。というわけで、クルージングはここで終了。

 

三方五湖の全景とクルージングの航跡例。三方湖は見学のために、このエリアに精通している人に寄っていただいただけなので、入らないほうがいい。日向湖は定置網が非常に多く設置されているため、ボートでは進入不可

 

それぞれの湖が持つ個性と、それらをつなぐ水路が見せる、さまざまな景色を堪能することができる三方五湖。
今回訪れたのは梅雨時で、あいにくの曇天と、水位の高さで野鳥が見られなかったが、それでも十分、その魅力を味わうことができた。天気がよければ、なおのこと忘れられないクルージングとなるだろう。
ぜひ、自身の操船で行くことをオススメする。

 

(文=BoatCLUB編集部/茂木春菜 写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は『ボート倶楽部』2020年9月号より抜粋。バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。


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