メノルカ島生まれのトローラー/サスガ・メノルキン34HT

2021.03.04

スペイン本土の東、バレアレス諸島に属するメノルカ島は、地中海の陽光降り注ぐリゾートアイランドとして知られており、マヨネーズ発祥の地という説もあるという。
そんなメノルカ島に伝わるクラシックな帆走小型漁船「Llaüt(カタカナ表記ではヤウトに近い)」をデザイン上のモチーフとして建造されているのが、サスガヨット社のファストトローラー「メノルキン( Menorquin )だ。ラインアップ全体に共通するのは、バウに設けられた、地元で"鼻"と呼ばれる係船柱のような造作。Llaütにおいては1枚板からステムと一体で造られる造作のようだが、メノルキンの各モデルでは、あくまで、ブランドの個性を主張するシンボルとなっていて、各部に用いられたウッド素材とともに、トラッドな雰囲気を醸し出している。

 

さて、ここで紹介するメノルキン34HTは、全6モデルで構成されるメノルキンブランドの最小モデルだ。
係留状態のその姿を見ると、全長に対して幅が広く、高さがあることもあって、とてもボリューミー。"鼻"につながるような形で高くそそり立つステムも、全幅いっぱいに設けられ、前後長も1メートルあるスイミングプラットフォームも、ボリュームを感じさせる要素となっている。

 

 

一方で、航行中に横から見た姿は、スイムプラットフォームが目立たなくなることもあって、ページ上部の写真を見てもわかるように、おもちゃのボートのような、かわいらしい雰囲気。にもかかわらず、最高速は27ノット程度と、なかなかの快速。ぜひ、上の動画で確認してほしい。
ちなみに、試乗時は非常に穏やかなコンディションだったこともあり、走行中の船内はとても穏やかだった。加速時のハンプも、旋回時の傾斜もほとんど感じられないし、曳き波を超えた際のショックもごくわずか。操船している限りでは、最高速域でのスピード感もそれほど感じられず、非常にゆったりした走りを味わうことができた。

 

デッキレイアウトはウオークアラウンド。バウの大きなキャビントランク上面は、サンベッドとして使えるよう、オプションのクッションが用意されている。地中海の海でアンカリングしている姿が目に浮かぶような、なんとも魅力的な雰囲気だ。

 

デッキハウス後部のドアがフルオープンにできることもあって、メインサロンはとても開放的。1.9メートル強と天井高にはゆとりがあり、窓が大きく、スカイライトハッチもあって、とても明るい、居心地のいいスペースだ。左舷側のギャレーは実用性十分。右舷側のソファは、テーブルを下げるとバースにもなる。

 

オーナーズルームになるであろう船首室は、大きなキャビントランクにより、十分なスペースを確保。入り口の両サイドにはハンギングロッカーが備わり、ダブルバースの下も物入れになっていて、収納スペースもたっぷり用意されている。

 

サロンの下にあたるスペースは、全幅いっぱいのスペースを確保したツインバースルーム。天井高こそやや低めだが、十分なスペースが確保されており、こちらをオーナーズルームとして使うこともできそうだ。

 

メインサロン、各キャビンとも、ゆとりあるスペースを確保しているメノルキン34HT。船内の設備を見る限り、ビルダーは、親子4人+ゲストという、ファミリー中心の使い方を想定していると思われるが、だとすれば、かなり贅沢なフネの上のひとときを送れそうだ。

 

(文=舵社/今村 信 写真=鈴木教之)

 

※なお、このモデルの紹介記事は、月刊『Kazi』2021年3月号(2月5日発売)、月刊『ボート倶楽部』4月号(3月5日発売)にも掲載しているので、そちらもぜひご覧いただきたい。

 


SPEC
●全長:10.00m
●ハル長:9.00m
●全幅:3.80m
●喫水:1.10m
●軽荷排水量:8.5t
●燃料タンク:650L
●清水タンク:350L
●駆動方式:インボード
●エンジン:ボルボ・ペンタD4-230(230HP / 169kW)×2

(問い合わせ)
オカザキヨット
TEL: 045-770-0502(横浜)、0798-32-0202(西宮)
https://okazaki.yachts.co.jp/


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