隠れ家的な関西の駐艇場|浜マリーナ

2023.08.04

月刊『BoatCLUB』で連載中の「突撃! マリーナレポート」は、全国のマリーナを巡り、その特徴や素晴らしさを読者諸氏にお伝えする連載。舵オンラインでも、その一部をご紹介しよう!!

今回紹介するのは、兵庫県神戸市の浜マリーナ。

※掲載情報は、取材当時(2022年11月)のものです。


兵庫県神戸市

浜マリーナ

神戸港を東西に延びる日本最大の運河、兵庫運河に面し、その運河工事のときに排出された土砂により埋め立てて造成された人工島(苅藻島)に位置する浜マリーナ。悪天候に強い立地でありながら海までは至近、明石海峡も近いため多彩な釣りが楽しめる。また、陸からのアクセスが抜群にいいうえ、今後もさらによくなる予定だ。穏やかな運河の水面に空が映り込む秋晴れの日にお邪魔した。

 

(トップ写真説明)
一見して目立つのはマリーナの奥から海面へと延びたホイストクレーンの足組みだ。運河に面した桟橋は、25フィートクラスが7艇は係留できる長さを持つ

 

 

練炭や豆炭を作る工場

地下鉄の駅を降りて地上に出たら、海へ向かっているとは思えないような工場地帯をすぎると、すぐに橋が現れる。その橋のたもとに浜マリーナはあった。まずは、運河に面した少し珍しい形態のこのマリーナの来歴をひもといてみよう。

もともとこの土地には練炭や豆炭を作る工場があったそうで、工場を経営する会社は、その後、灯油や石油などの燃料関係を取り扱うようになり、ボイラーや給湯器などの取り扱いを経て、水道や空調などの設備会社へと時代とともに変貌を遂げていく。そんな中、練炭や豆炭を作っていた工場が使われなくなったが、そこには材料を運ぶためのクレーンがあり、土地がある。その有効活用のために誕生したのが浜マリーナだ。

マリーナの創業は平成9年(1997年)だが、経営する会社の創業は大正10年(1921年)。昭和26年(1951 年)に株式会社となるその企業の名は浜崎。お話を伺ったのは、浜崎の4代目、浜崎浩彦さんだ。

「2代目と3代目が考えて、この土地をマリーナにしようということにしたんです。3代目は特にフネが好きでしたしね。この周辺を見ても陸置きのマリーナは少ないし、クレーンがあるし、ということで改修してスタートしました」

工場が元になっているからか、浜マリーナの構造は少し変わっている。運河に面した海面には桟橋が設置され、そこからマリーナ奥まで長いホイストクレーンの足組みが延び、2階建て構造になった駐艇場まで続いている。そう、海面から陸上への上架だけでなく、陸上も1階から2階へと上げるホイストクレーンが用意されているのだ。比較的小型のボートは2階へ、大きめのボートは1階へ保管されていて、保管艇であれば上下架費は無料、その他、氷とボートを洗う洗剤、そして高圧洗浄機の使用も無料という、ユニークなサービスも用意されている。

 

海側の桟橋から見たホイストクレーン。奥にもう一つあるのがわかるだろうか。手前が海上から陸上へ、奥がマリーナ1階から2階へと上架するためのクレーンだ

 

2階から見たマリーナ1階の様子。2階に比べ大型のボートが並べられている。当日、ボートをいじっているツナギ男子がいたが、簡単なメンテができるサービススタッフはいるものの、本格的な整備や修理は別の会社を紹介しているとのこと

 

階下のスペース。広い整備場なのかと思いきや、「うちは保管しかやりません」とのことで、本業である設備関連の仕事のための資材置き場が主だという。お邪魔した日はマリーナスペース拡張に向け整理が進められていた

 

(左上)「自分でボートを洗っていただくんで、洗剤くらいは」とボートを洗うための洗剤も無料で提供している
(右上)無料で使える氷が満載の製氷機。「あんまり取っていきすぎると次の人の分がなくなるでって言ってますけど、みんなクーラーボックスにばんばん入れていきます(笑)」
(下)高圧洗浄機も無料で貸し出しているそうだが、使えるエリアは決まっているので譲り合っての利用となる

 

 

青ものとマダコが人気

浜マリーナは運河に面していて、海に対しては背を向けていることもあるからか、大型の台風が来たときでも比較的影響は少なく、これまで悪天候時のトラブルはほとんどないという。運河に架かる目の前の橋はフネがくぐれる高さではなく、事実上最奥となるため、マリーナ前は航行も少なく静穏だ。さらに、陸からのアクセスも抜群によいうえに、近くに大型の釣具店もあるという恵まれた立地である。

24~28フィートがほとんどという保管艇のオーナーたちの目的はほぼ釣り。人気なのは青ものとマダコだ。近場でガシラ(カサゴ)などの根魚をねらうこともあるそうだが、時季となれば青ものやマダコ一色となる。マダコは明石が近いこともあるだろう、禁漁が解かれればすぐにでも向かうフネがあるのは容易に想像できる。

少し西に足を延ばして家島諸島まで行く人もいるが、大阪湾を南下して有名釣りポイントが点在する友ヶ島水道周辺へと向かうフネはほとんどない。というのは、そこまで行かなくても十分に楽しめる、ということなのだろう。時にはマリーナの前の運河にイワシなどが群れで回ってくることもあるようで、そこでエサを確保してから、釣りに行くオーナーもいるのだとか。

2030年には阪神高速5号湾岸線が延長され、マリーナ近くに出口が設けられる予定で、陸からのアクセスはますますよくなるようだ。取材時の2022年11月時点では、保管艇はまだ少しならば受け入れられるようだったので、気になる人は連絡してみては。

 

マリーナ2階の様子。左手前にあるのが1階から2階へ上げるためのクレーン。お邪魔した当日は比較的小型のボートが13艇並べられていた

 

2階のクレーンのある位置から海の方向を望む。クレーンが一直線に並んでいるのがわかるだろうか

 

マリーナ前の長い桟橋の端。奥に見えているのが運河の事実上最奥となる橋だ。ここまでイワシの群れが入ってくると釣りイトをたれるオーナーもいるそうだ

 

(文・写真=茂木春菜/『BoatCLUB』編集部)

 


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