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【フネのDIY術】/FRP③ ゲルコートってなに?

2021.02.09

『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。3回目となる今回は、2019年6月号に掲載した、「ゲルコートってなに?」から内容を抜粋して、FRPに関する情報をお届けします。


 

モールド(型)に白いゲルコートを塗布し、硬化後、その上からさらに黒いゲルコートを塗布しているところ。写真は、ヤマハ天草製造で撮影

 

前回までに、FRPを構成する基本的な素材やFRP施工時に必要な道具などについて説明した。ここまでの知識があれば、とりあえずFRP製の簡素な板を作成することが可能だ。これを応用すれば、例えば木材で作った階段に、ガラス繊維と樹脂を重ねていき、より丈夫な階段を作ることもできる。

ただし、このままではガラス繊維が丸見えで、あまりにも見た目が無骨なため、通常はコーティング剤を使用して見た目をきれいに整える。そのコーティング剤というのが、みなさんも一度は聞いたことがある、「ゲルコート」や「トップコート」だ。

コーティングがあるかないかで、塗装後の見た目も大きく変わってくる。「コーティング剤なしで、そのまま塗装すればいいのでは」と思う人がいるかもしれないが、塗装だけでは、厚みをもたせることができず、丸見えのガラス繊維を隠すことができない。やはり、仕上げを美しく見せるにはゲルコートやトップコートが必要となる。また、艇体を保護する役割もある。

ゲルコートもトップコートもポリエステル樹脂で、その違いはパラフィンが入っているかいないか。ゲルコートがパラフィンなしで、トップコートがパラフィン入りだ。前にも説明したが、パラフィンが入っていないと、空気に触れる面はいつまでも固まることがない。そのため、割れた船体を補修する際には、空気に触れる表面部分には、パラフィンの入っているトップコートを使用し、凝固させる必要がある。

ちなみに、ほとんどのゲルコートは白色だが、実際には色付きのゲルコートもあるので覚えておこう。例えば、青色のゲルコートを使用した艇の補修には、もちろん同じ青色のゲルコートを使用すればいい。

 

ゲルコートも火気厳禁なので取り扱い注意。白だけでなくさまざまな顔料を混ぜたものもあり、塗装せずにいろいろなカラーの船体にすることも可能

 

勘のいい読者であればすでにお気づきかもしれないが、FRP補修の順序と、FRP製の艇体を造る順序は、反対となる。

FRPのフネを造るとき、通常は、まず、モールド(メス型)を用意し、そこに離型剤を塗ってから、ゲルコートを塗り、ガラス繊維とポリエステル樹脂を重ねていく。この場合、ゲルコートは型に接しているため、パラフィンが入っていなくてもちゃんと固まる。仕上げも、メス型の表面がそのまま投影されるのできれいだ。その後、メス型から取り出して、表面に塗装を施せば、一応完成となる。

補修の場合は、例えば、クラック(ヒビ)が入った場所を削り取って、そこにFRPを積層していくことを想定すると、まず、ガラス繊維とポリエステル樹脂を重ねていき、その上に、ゲルコート、最表面にトップコートを重ね、サンダーなどで表面をきれいにしてから、塗装する、という流れだ。この違いを覚えておくと、FRP補修に関する理解が深まるはずだ。

 

以上の知識があれば、とりあえずはFRPの補修を自分で行うことができるはず。

ちなみに、単にFRPというときは一般的にガラス繊維を使用したものを指すが、正確にいえば、ガラス繊維を使用したFRPは「GFRP(Glass-Fiber Reinforced Plastics)」と呼ぶ、ということは最後に覚えておいていただきたい。中に使用する繊維がガラスではなくカーボンであれば、「CFRP(Carbon-Fiber Reinforced Plastics)」となる。また、カーボン繊維を使用する場合は、中のカーボン繊維をあえて見せるために、透明なゲルコート(トップコート)を使用するのが一般的である。

 

カーボン繊維を使用したFRP。透明な樹脂(ゲルコート)を使用しているので、中のカーボン繊維が透けて見えている。見た目がかっこいいので、塗装などはせず、このままの見た目で使用されることが多い

 


 

フネを造る順序とFRP補修の順序の違い
FRP施工において、工場でフネが造られる際と、船体の破損した箇所を補修する際では、ゲルコートの塗布と、ガラス繊維+樹脂を重ねる順序は、反対になる。

 

フネを造る順序

モールドに離型剤を塗り、その上にまず、①ゲルコートを塗り、それから②ガラス繊維とポリエステル樹脂を重ねていく。塗装は、モールドから船体を外して、表面部分に施す

 

FRP補修の順序

破損した箇所に、①ガラス繊維とポリエステル樹脂を重ねていき、その上から②ゲルコート+トップコート、もしくはトップコートのみを塗っていく。最後に、ほかの箇所と色を合わせて塗装する

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2019年6月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

※「フネのDIY術」過去記事
FRP①はコチラ、FRP②はコチラ

 


東京ボート
新艇・中古艇の販売や保管、メンテナンス関連部品の販売、ボート免許取得のための講習など、ボートに関する幅広い業務に携わる。
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