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ボート
モダントローラーの最新形/ベネトウST47

2020.10.11

世界最大のプロダクション艇ビルダーとして、不動の地位を築いているベネトウ社(フランス)。ラグーンやジャノー、CNBヨットといったグループ企業(グループベネトウ:Groupe Beneteau)全体としてとらえれば、マーケットにおけるシェアは圧倒的なものがある。
そんなベネトウのパワーボートのラインアップにおいて、今や中核を占めるシリーズが「スイフトトローラー(Swift Trawler)」(以下、ST)だ。
STシリーズの特徴を一言でいうなら、「現代版高速トローラー」という言葉がぴったり。20ktをゆうに超える航行性能を持つSTシリーズは、これまでのトローラーの概念を覆した。
その最新モデルの一つである「ST47」の日本1号艇が、この春、日本に初上陸。横浜ベイサイドマリーナ沖で試乗する機会に恵まれた。

 

ネイバルアーキテクトを務めるのはイタリアのMICAD(Marine Innovation Consulting And Design)。インテリアとエクステリアのデザインは、同じくイタリアのアンドレアニデザイン(Andreani Design)が担当している。
ハル長は12.77m(約41ft)、スイムプラットフォームを含む全長は14.74m(約48ft)。ハル長ベースでは41ftモデルということになるが、全幅は4.42m、高さ(フライブリッジの屋根まで)は5mを超え、外観からは長さ以上のボリュームが感じられる。

 

アフトコクピットは、頭上のひさし(=フライブリッジ)がトランサム後端までカバーしているので、天候や季節を問わず快適に過ごすことができそうだ。
フライブリッジに上がるステップは、使わないときにはハウス側に寄せておくことができるので、スペースを有効に使える。

 

ウオークアラウンドの通路を通って、船首エリアへ。広々としたキャビントランクの上にマットを敷くと、大人二人がくつろげるサンベイジングスペースが現れる。
このエリアに限らず、フネの全周を高い舷側(げんそく)とハンドレールが囲っているので、不慣れな方でも安心して移動ができるはずだ。

 

フライブリッジは、ゆとりあふれる空間となっている。両サイドのナビシートの背もたれを動かせば、ソファをよりぜいたくに使うことが可能だ。
取材艇はオプションの
Tトップが装備されていたが、サンシェードを開け閉めすることもできて使い勝手がいい。

 

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トローラーにおいては、生活空間としての機能や快適さにもプライオリティーが置かれる。ST47では、それを高いレベルでクリアしている。
前方から、操船に関するエリア、ミジップにL字形のギャレーエリア、後方がリビングエリアという構成。左舷側のソファの脇(ハウスの後方側)には、家具調の冷蔵庫を装備。また、右舷側のソファはベッドのように展開することもできる。L字形のギャレー/カウンターは、かなり大きなスペースが割かれていて、いかにも使い勝手がよさそうだ。

 

ヘルムステーション。前後左右の窓も大きな面積が確保されているで、操船中の視界もよく、ストレスを感じるようなこともない。フライブリッジでの操船もいいが、エアコンの利いた船内で操船するほうが快適なケースも少なくないだろう。
なお、計器の画面にも注目。ST47には「シップコントロール」というベネトウ独自のビジュアルインターフェースが標準装備されている。ナビゲーションに関するさまざまな情報、電気系統や燃料系統、エンジン、艇体の状態などに関するさまざまな情報を一元化し、ユーザーが包括的にモニタリング、管理することができる、まさにデジタル時代の運航管理システムだ。

 

船首のマスターステートルームは、キングサイズのアイランドベッドを備える。天井高が2m以上ある、ゆとりあふれるスペースだ。この一角には、シャワーとトイレも、それぞれが独立して設けられている。

 

ミジップの左右には、それぞれ居室が設置される。左舷側のキャビン(写真)にはシングルバースが2本(つなげてダブルバースにもできる)、右舷側のキャビンにはダブルベッド一つという配置。

 

試乗艇のパワーユニットは、カミンズQSB6.7L(425馬力)の2基掛け。
取材時は、風速7~8m/s、0.5~1m程度の波が続くというコンディションだったが、風波に翻弄されるようなこともなく、優雅にかつ力強く進んでいく。のびやかに速度が上がる感じは、外観からイメージするトローラーの走りとは別物。この日は3,000回転で25ktオーバーの速度を記録した。

最初のモデルがデビューしてから15年以上が経ち、その実績からしてみても、すでに完成形に到達したと感じていたSTシリーズ。しかし、最新のST47に触れると、さらなる成熟のフェーズに入ったことを痛感させられた。
トローラーというカテゴリーのボートがさらに進化し、より幅広いニーズに応える1艇に仕上がっているといえるだろう。

(文=舵社/安藤 健 写真=松本和久)

 

SPEC
●全長:14.74m
●ハル長:12.77m
●全幅:4.42m
●喫水:1.15m
●軽荷排水量:12,685kg
●エンジン:カミンズQSB6.7L(425PS/312kW)
●燃料タンク:1,920L
●清水タンク:640L

(問い合わせ)
ファーストマリーン
TEL: 046-879-2111
https://www.firstmarine.co.jp/


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