まさに海のライトウエイトスポーツ|アクソパー22スパイダー

2021.11.15

フィンランドの新進気鋭のビルダー、アクソパー(Axopar Yachts)の最新モデル「アクソパー22スパイダー」に試乗する機会を得た。

2014年にデビューした同社として最初のモデルのアクソパー28が、いきなり世界のマーケットで大ヒット。シャープで近未来的なスタイルを持ち、抜群の走行性能を誇るアクソパーは、日本でもすっかりおなじみになった。

そして2020年モデルとして発表された「アクソパー22スパイダー」、このほど日本1号艇が初上陸。まずは取材時に撮影した、以下の動画をご覧になっていただきたい。ボーティングそのものを純粋に楽しむ・・・そんな魅力を感じていただけるはずだ。

 

「アクソパー22スパイダー」(舵社公式YouTubeチャンネル「Kazi Movie」より)↑↑

 

アクソパーのラインアップは、28と37、そして2021年モデルとして発表された22と、全部で3つのサイズレンジから成る。それぞれのモデルは、上部構造物や装備の違いによって、いくつかのタイプが用意されている。なお先ごろ、2022年1月のデュッセルドルフ・ボートショー(ドイツ)において、ニューモデルの「アクソパー25」がお披露目されることが発表された。

さて、このアクソパー22。今回日本にやって来たのはオープンタイプのセンターコンソール艇の「アクソパー22スパイダー」で、ほかにTトップを備えた「アクソパー22Tトップ」も用意されている。

 

全長7.2メートルというコンパクトなサイズ。ご覧の通りデッキレイアウトはシンプルそのもので、例えばボートフィッシングを楽しむにも相性がよさそうだ。

ハンドレールを舷側の内側に設置したデザインの効果もあって、とてもシャープな印象を受ける。このハンドレールは、両舷のほぼ全体をカバーしていて、船上で移動する際には、とても具合がよかった。

 

操縦席周り。スポーツカーのそれをほうふつとさせるシートは、前後にスライドさせることができる。座面の前方を跳ね上げることも可能で、こうすると中腰のような姿勢で腰掛けて操船できる。ウインドシールド(風防)は、ワンタッチで容易に角度を変えることができるようになっているので、座っての操船、中腰での操船、スタンディングでの操船という具合に、そのときの操船スタイルに合わせて調節する。

 

ステアリングが左舷側に設置されており、中央にスロットルレバーが配置されている。スイッチ類も、実にシンプルにまとめられている。シートに腰掛けてステアリングを握ると、まるでスポーツカーのコクピットに身をうずめているかのような感覚を覚える。ボートのサイズもあって、ビギナーであっても容易に取り回すことができるだろうし、クルマ感覚で気軽に操船することができるはず。

 

操船席の後方には、大人二人が並んで座れるベンチシートが設けられている。このエリアのレイアウトは、オプションがいくつか用意されていて、例えば左右にベンチシートを設置したり、このシートと操縦席との間に大きなサンベッドを設置したりといったことが可能。ユーザーの使用目的に応じて、いろいろな仕様が選べるのはありがたい。

 

コンソールの前方にも、ベンチシートが設けられている。走行中、このエリアはほとんど波しぶきをかぶることはないので、意外にもここが快適な乗船位置になっている。舷側の高さも十分に確保されているので、ここからサオを出しても安心だろう。

 

そして、コンソール内部には、このサイズのボートでありながら個室トイレを備えている。中のヘッドクリアランスも十分で、なんと独立したシンク(手洗い)まで備えている! 写真では見えないが、清水シャワーまで装備。

 

船首エリア。足元の空間には広大な収納スペースは設けられている。前方にはアンカーロッカー。なお、コンソールのベンチシートと対面で向き合うような形で、船首側にシートを設けるオプションもあり。

 

船体は独自のステップトハルを採用(船底の端に2カ所、溝が切ってあるのがおわかりだろうか)。航走中、ここから空気を吸い込むことによって抵抗を減らし、走行性能と燃費の向上を図っている。

 

試乗艇のパワートレインは、マーキュリーの200馬力船外機の1基掛け。風速7~8m/s、白波も混じるややハードなコンディションでの試乗だったが、39ノットオーバーの速度を記録した。波で跳ねたりたたいたりすることもほぼなく、とにかく快適な乗り心地が印象的。また、特筆すべき点として、静止安定性の高さも挙げておきたい。

小型ボートならではの操船しやすさを持ちながら、ハードなコンディションをものともしない走行性能は要注目。エントリーユーザーが、ボーティングそのものをストレスなく楽しむにはぴったりだろう。一方で、まるで「海のライトウェイトスポーツ」とでも形容すべきスタイルとパフォーマンスは、ベテランユーザーにとっても、海の上を走るというボーティングそのものの魅力を思い出させてくれるはずだ。

そういった意味では、明らかな個性を持った一艇だといえるだろう。輸入元(オカザキヨット)の担当者によれば、来年にはTトップ仕様も日本に入って来るとのことなので、こちらも今のうちから注目しておきたい。

なお、アクソパー22スパイダーのインプレッション記事は、月刊『ボート倶楽部』2022年1月号に掲載予定。こちらもあわせてご覧いただきたい。

 

(文=舵社/安藤 健 写真=松本和久)

 


アクソパー22スパイダー
●全長:7.2m
●全幅:2.23m
●喫水(プロペラ含む):0.8m
●船体重量:1,200kg
●燃料タンク:230L
●清水タンク:40L
●駆動方式:船外機
●エンジン:マーキュリーF200(200PS/147kW)※試乗艇の場合

(問い合わせ)
オカザキヨット
TEL: 045-770-0502(横浜)、0798-32-0202(西宮)
https://okazaki.yachts.co.jp/

 



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