太平洋横断中の辛坊さん/出航から3週間でようやく天候回復

2021.05.02

風速50ノットオーバーの嵐を乗り越えて

大阪出航から3週間が経った、太平洋横断中の辛坊治郎さんと愛艇〈カオリンV〉(ハルベルグ・ラッシー39)の5月1日20時の位置は、千葉県の東方約2,600km。この距離は北海道北端の稚内から沖縄までの距離(約2,500km)とほぼ同じ。単純計算で大阪から目的地のアメリカ・サンディエゴまでの総航海距離の30%弱を走ったことになる。

 

現在位置は古野電気の辛坊さん応援ウェブサイトで、ほぼリアルタイムで更新されている(PC閲覧推奨)。

 

先週、本サイトに掲載した気象予報士のレポートでも触れたように、辛坊さんは4月26日から28日にかけて、台風並みに発達した低気圧に遭遇し、風速50~65ノット(25~35m/s)、波高10m近くという大嵐に遭遇。本人曰く「3回死にそうになった」というが、何とか乗り越えた。

しかしながらダメージは大きかったようで、コクピットドジャー(操船スペースを囲う布とアクリル製のカバー)が破れ、レイジージャック(メインセールをスムーズに揚降するためのガイドロープ)が切れたりと、その後、嵐が収まってからは修理におわれた。

 

これが破れたドジャー(出航前に撮影)。

 

低気圧をやりすごした現在は、波高は高いものの風速は10ノット以下と、出航して3週間にして初めて、のんびりとしたセーリング状況になっている。

5月1日夕刻のサポートスタッフとの衛星携帯電話による定期連絡でも元気な声が聞かれた(以下は抜粋)。

「今日は風はなかったが、レイジージャックは切れるし、メインハリヤードがレーダーリフレクターに絡んだり、(それらの解決で)大変な1日でした。(高気圧の真ん中にいるはずなのに)ぜんぜん晴れていなくて、今日は1日くもりで定期的にスコールが降りました」(辛坊さん)

 

YouTubeチャンネル『辛坊の旅』より。

 

今回の航海ではあえて、国際VHF無線機と音声通話のみの衛星携帯電話(イリジウム)しか持参しなかった辛坊さんには、この定期連絡で天気概況が伝えられる。辛坊さんは気圧配置や予想風速は真剣に聞き入るものの、「波やうねりの情報はもうどうでもいい」と話しており、太平洋真ん中の大うねりにずいぶん慣れてきたようだ。

現在、辛坊さんは高気圧帯におり、今後数日間は風速5~15ノットの落ち着いた天候が続きそうだ。

 

(文・写真=Kazi編集部/中島 淳)

 

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※辛坊さんの関連記事は、現在発売中の月刊『Kazi』2021年6月号にも掲載しています。ご興味のある方は、全国書店またはこちらからお求めいただけます。

 


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