ロープを撚り、ロープを編む、奥深き結びの世界(2)

2023.06.20

イラストレーター国方成一さんが紡ぐ、奥深き「結びの世界」。

月刊『Kazi』6月号に掲載された記事を3回に分けて再録。

その1では、三つ撚り(三つ打ち)ロープの作り方を紹介しました。今回のその2では、ロープ作りに登場したロープワークを紹介します(舵オンライン編集部)。

メインカット | photo by Shigehiko Yamagishi | Kazi | 前回紹介したロープ撚り。そのためにはミシンも必要。この技術を使えばどんな布でも三つ撚りロープとして再生できる。そう、それがヨットセールであったとしても 

 

奥深き結びの世界①を読む

 

国方さんの自作ロープによって編まれた、飾り結び作品の数々。もともと華やかな模様を醸し出す自作ロープで編むことで、思いもよらない不思議で愛着のある柄が生まれるのだ

 

 

シーマンに大切なロープワーク4選

前回紹介したロープ作りに必要な結び二つと、オススメの結び二つを紹介します。 

 

 

バントラインヒッチ  Buntline Hitch 

滑りにくく、解きやすい

反物をS環につなぐときに使用した結び。S環にロープをかけ、自分自身にクラブヒッチ(巻き結び)をするイメージ。引くほどに強く締めこまれる。すばやく結べて、かつ滑りにくく、解きやすいという非常にすぐれた結びだ。 

 

 

コンストリクターノット  Constrictor Knot

クラブヒッチの応用型

コンストリクターとは、圧迫する、締め付けるという意。クラブヒッチの応用型となり、最後にひと巻き増やすイメージ。完成した三つ撚りロープの止めに使用した。大きな圧力がかかったときほど解けにくい結びである。 

 

 

トライスルシートベンド  Trysail Sheet Bend 

ナイフを使わないと解けない!?

次回のコラムに登場する結び。荒天時に揚げるトライスルクリューに使う。非常に強固な結びであり、解くためにはナイフを使用するしかない、と言われるほど。絶対に解けてはいけない部分に使用しよう。 

 

 

ベルリンガーズヒッチ  Bell Ringers Hitch 

教会の鐘に使用した結び

編集部からお願いして描いてもらった結び。「昔、教会の重たい鐘を鳴らすのにこの結びを使用したので、ベルリンガーズの名前が付きました」と国方さん。別名、ワゴナーズヒッチ。トラックの荷物を結ぶのによく使われるのでトラッカーズ・ヒッチとも。ディンギー乗りは、南京結びと呼んだりする。 

トラックの積み荷でよくかける。陸置きのヨットの固縛にもこの結びは最適だ 

 

 

作ったロープで試したいスプライス3選

王道のスプライスを三つ紹介。ロープエンドのほつれを防ぐ意味もあり。 

 

 

バックスプライス  Back Splice

端がほつれないように整える

いわゆる端止め結び。①三つ撚りを一度ほどき、②三本を交差して結ぶ。③この状態がクラウンノット。④それぞれの端を自身に編み込んでいく。⑤2~3回編み込んで完成。 

 

 

アイスプライス  Eye Splice

エンドに便利な輪を作る

バックスプライスの先端をアイ(目)にしたエンド処理。アイの大きさを工夫し、係留索やテークルなどあらゆるシーンで活用できる。①端をほどき好みの大きさに折り返し、②自身に編み込む。③同じく2~3回編み込んで完成。 

 

 

ショートスプライス  Short Splice

ロープをつなぐための技

三つ撚りのロープとロープをつなぐスプライス。①三つにほどいたエンド同士をかませ、②それぞれに2~3回編み込んで完成。ロングスプライスというつなぎ編みもある。 

 

 

飾り結びを楽しもう

好みの布でお気に入りのロープを撚ったなら、そのロープを使って飾り結びを楽しんでみたい。国方さんが考案した穴あき板(編み込み専用の台)を使用すれば、難しい編み込みも比較的簡単(?)に! 

 

 

カラフルな三つ撚りロープで編んだ、飾り結びの数々飾 

 

 

これが穴あき板。穴に棒を刺すことで仕上がりイメージがつけやすい 

 

 

ターキッシュ・ラウンドマット  Turkish Round Mat

覚えておきたい人気の飾り結び

玄関マットなどに最適な飾り結び。大きさも自由に変更できる。

さまざまな形のマット系飾り結び

 

 

プロロングノット  Prolong Knot

穴あき板なしで結べる飾り結び

プロロング(prolong)とは長く伸びるの意味。結びの長手方向の両方を引っ張ると全体がゴムのように伸びるので、この名前になったという説。編み込む量によって大きさを調整しよう。 

 

 

練習するのにちょうどよい飾り結び。2本の棒を目印に編んでいこう 


 

次回は、国方さんのロープワークに対する考え方を紹介します。

 

(文・イラスト=国方成一  写真=山岸重彦/舵社)

※関連記事は、月刊『Kazi』2023年6月号に掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 

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国方成一
Seiichi Kunikata

東京都出身、多摩美術大学卒業。イラストレーター、造形作家。自宅のアトリエを開放し、絵画教室やロープワーク教室などを開催。ヨットを楽しんだのは、神奈川県の伝統的な小網代湾にて

 

 

『ロープワーク入門講座』(国方成一 著。舵社刊。右)、『結び 生活に美と潤いを求めて』(中沢 弘著、国方成一 画。天然社刊。左)など、結びに関する多数の書籍を上梓

 


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●6/5発売、月刊『Kazi』7月号|特集は「雨がやんだらヨットを出して」

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